メッシュWi-Fiは、セット台数が多いほど安心に見えます。しかし、必要以上にノードを増やすと設置場所が複雑になり、期待した改善が得られないこともあります。
重要なのは、床面積だけで台数を決めるのではなく、親ノードと子ノードの間に通信経路を作れるかです。この記事では、1台・2台・3台の考え方と、無線・有線バックホールの使い分けを整理します。
先に覚えたい3つの用語
- ノード:メッシュを構成する1台ずつの機器
- バックホール:ノード同士がデータを運ぶ経路
- デッドゾーン:電波が弱く、通信しにくい場所
バックホールを無線で作る場合は、ノード同士も電波で通信します。有線で作る場合はEthernetバックホールです。
台数を決める前に測定場所を固定する
設置前と設置後を比べるため、測定場所を決めます。
- 親機の近く
- 普段困っている部屋
- 部屋へ入る手前の廊下
- 階段や踊り場
- オンライン会議をする机
- テレビやゲーム機の位置
同じ端末、同じ時間帯、同じ測定方法で比較します。速度だけでなく、ページの反応や会議の安定性も記録します。
レイテンシは、通信の応答にかかる時間です。動画の最高速度が十分でも、レイテンシの変動が大きいと会議やゲームで違和感が出ることがあります。
1台から始めやすい住環境
次の条件なら、まず1台を適切な場所へ置いて測ります。
- ワンルームや1LDKなど比較的コンパクト
- 親機を住戸の中央寄りへ置ける
- 壁や扉が少ない
- 遅い場所が親機から極端に離れていない
- 有線で接続したい機器が親機周辺に集まっている
1台で不足したときに追加できるのがメッシュの利点です。最初から最大台数を買わず、追加可能な製品なら実測後に増やす方法もあります。
2台が候補になりやすい住環境
2台構成は、次のような環境で考えやすくなります。
- 横長のマンションで端の部屋が遠い
- 2階建てで上下階をつなぎたい
- 親機を家の端から動かせない
- 壁を複数枚通る部屋がある
- リビングと仕事部屋の両方を安定させたい
2台目はデッドゾーンの中心ではなく、親ノードの電波を十分受けられる途中へ置きます。
マンションの例
親ノードがリビングの端にある場合、2台目を最も遠い寝室へ直接置くのではなく、廊下や中間の部屋で接続状態を確認します。水回り、収納、金属扉などを挟む場合は位置を少し変えて比較します。
2階建ての例
1階の親ノードと2階奥の部屋をつなぐ場合、階段付近や吹き抜けに近い場所が候補になります。床を真上に通すより、開口部を経由した方が電波経路を作りやすいことがあります。
3台が候補になりやすい住環境
3台は、単純に広いから必要というより、通信経路を複数段で作る場合に候補になります。
- 3階建て
- L字型や離れた部屋がある戸建て
- 厚い壁や床で一度に届かない
- 1階と3階の両方を安定させたい
- 屋内の複数エリアをカバーしたい
ただし、無線バックホールでノードを連続させると、各ノードの接続品質が全体へ影響します。3台目を増やす前に、2台目が親ノードと安定してつながっているか確認します。
無線バックホールの置き場所
無線バックホールでは、子ノードを「使いたい場所」と「親ノード」の間へ置きます。
避けたい例は次の通りです。
- 電波がほぼ届かない部屋の奥
- 金属製収納の中
- 床の隅
- 大型家電の背面
- 水槽や水回りの近く
- 壁を何枚も斜めに通る位置
ノードのアプリに接続品質表示がある場合は、強い・普通・弱いといった表示を確認します。ただし表示だけでなく、困っている場所で実測します。
有線バックホールを使えるなら配置の自由度が上がる
Ethernetバックホールでは、ノード間のデータをLANケーブルで運びます。無線バックホールが壁や床の影響を受ける環境では、有線化によって安定させやすくなります。
有線化の前に確認します。
- 各ノードのLANポート速度
- 壁内配線の規格
- 情報コンセントの結線
- 間に入るスイッチングハブの速度
- ケーブルを安全に通せる経路
Deco BE65は2.5GbEを中心にした有線構成、Deco BE85は10GbEを含む構成を検討できます。
製品差は次の記事で確認します。
2.5GbEや10GbEの配線で追加商品が必要になる場合
複数の有線端末やノードを接続する場合、スイッチングハブが必要になることがあります。また、LANポートのないノートPCでは有線LANアダプターが必要です。
この部分はメッシュ本体とは別の話題です。将来の記事では、次の役割を分けて紹介できます。
- 5ポートまたは8ポートの2.5GbEスイッチ
- USB Type-C対応2.5GbEアダプター
- 配線距離に合うCat6Aケーブル
- 壁沿いへ通しやすいケーブル形状
台数別の簡易判断
1台
- 小さな住戸
- 中央へ置ける
- 障害物が少ない
- まず実測したい
2台
- 横長の住戸
- 2階建て
- 親機を端から動かせない
- 中間地点を確保できる
3台
- 3階建て
- 複数方向へ広がる間取り
- 2台では通信経路を作れない
- 各ノード間の接続を確認できる
設置後の確認手順
- 親ノードの近くで基準を測る
- 困っている場所で測る
- 子ノードを中間地点へ置く
- 接続状態が安定するまで待つ
- 同じ場所で再測定する
- 数十センチ単位で位置を調整する
- 必要なら有線バックホールを検討する
Wi-Fi不調の原因診断から確認したい場合は、親記事へ戻ります。
メッシュWi-Fiの台数は、広さだけで決めません。ノード同士が安定して通信できる場所を確保し、1台ずつ効果を測りながら増やす方が、無駄な追加を避けやすくなります。
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